事業紹介プロジェクト
ストーリー
未来に残る仕事を
共につくり上げていく歓び。
奈良線輸送改善(複線化)
プロジェクト
電灯 電力設備
Y.T. 2002年入社
駅構内や信号などへ電源供給を行う「電灯電力設備」を担当。京都電灯電力工事所 所長代理。
通信設備
M.T. 2006年入社
列車との情報通信、案内放送などの「通信設備」を担当。京都通信工事所 係長。
電車線路設備
N.T. 2013年入社
電気を電車に供給する「電車線路設備」を担当。奈良線電気工事所 主任。
※所属部署・役職は取材日時点
それぞれの立場から思いを込めて。
Y.T.
JR奈良線では単線区間の複線化事業を進めていて、2023年春の開業予定です。線路の増設にともなって電車線や電柱の建替などを行うのですが、NESCOはこのうち「藤森−宇治」駅間と「山城多賀−玉水」駅間を担当し、これを「奈良線輸送改善プロジェクト」と呼んでいます。NESCOの鉄道工事部門は変電、電車線、電灯電力、信号、通信の5つの系統に分かれていますが、そのすべてが関わる大きなプロジェクトです。
私は5系統の中で電灯電力に所属しています。電柱に走っている高圧線などを移動させる、いわゆる支障移転を行いながら、最終的にはその電線を上り下り1本ずつの2回線化する工事を監督しています。まずは「無事故」が目標です。
N.T.
私は同じく「奈良線電気工事所」に配属され、「藤森−木幡」駅間の電車線の主工事指揮者として勤務しています。電車線とは電車のパンタグラフに電力を供給する線のことで、この支障移転工事から線の切替工事まで日々行っています。NESCOに入社してまだ7年ほどしか経っていませんが、このような大きなプロジェクトで指揮者を担当させてもらえているので、無事故で確実に複線化開業までに施行を進めたいと強い思いを持って取り組んでいます。
M.T.
私は通信系統の工事指揮者で、このプロジェクトでは「山城多賀−棚倉」駅間の通信設備の新設や撤去、移転工事を監督しました。通信とは主に駅間や列車との情報通信を行う系統です。光ファイバーなどのケーブルがずっと沿線上に走っていますし、500mおきに電話機が設置されています。それらを軌道や土木工事の支障にならないよう移設するのが主な役割です。複線化というニュースになるような大きなプロジェクトの中で、品質の高い仕事をこなしていかなければという意気込みです。
他領域との連携にも細心かつ全力で。
Y.T.
プロジェクトになると、自分たちの部署だけで仕事できるという条件はなかなかないですね。土木、軌道、電車線もしかりで、他の進捗状況に工程が引っ張られていきます。電灯は他系統の工程が遅れてしまうと、それが終わってからでないと仕事ができない。逆に早く終わったからもう少し早くやってほしいというケースもあります。これが終わったタイミングでこの期間までに終わらせてほしいと。一番しわ寄せが来るのは信号ですね。
N.T.
電車線は用地問題がシビアに出てきます。というのも、JR奈良線はかなり用地が狭い中で2線を走らせる必要があって、うちの設備は大きなものが多いため、設備が鉄道用地からはみ出ないかが課題になるんです。特に電線の柱が支障してくるので、土木の監督との調整を繰り返して工程を立てています。また、その柱に矢野さんの電灯の設備や奥本さんの信号の設備があるので、部内でも密に連携を取り合っていますね。
M.T.
通信も同じように、簡単に来週どけてくれと言われて来週できるようなものではなくて、切り替えが伴う作業になるのでJRなどと段取りをつけなくてはいけません。工程調整をしつつ他系統の進捗の邪魔にならないように心がけています。JRも加わって月に一度工程会議があるのですが、新型ウイルスの影響でWEBになったため、ニュアンスを伝えるのにいっそう真剣に取り組んでいますね。
プロジェクトで直面した困難と解決の先に。
N.T.
このプロジェクトが私にとって初めて他系統と連携する工事です。他の企業の監督の方々とお話をする時に、相手の設備のことも分かっていないとうまく話が伝わらないことも多かったのです。恥を捨てて相手の監督に「今の言葉はどういうことですか」と聞きながら、軌道や土木の用語、構造の仕組みを少しずつ学んでいきました。視野が広がったことが専門の分野に戻った時にも活かされるだろうし、また別のプロジェクトで自分の出番もあるかもと思います。
M.T.
通信は、他系統からシビアな期限を提示されても期待に応えないといけない。単独の工事なら事前に調査して回線を切り替えたり、資材も用意できるのですが、急遽の対応になると難しい。今回の経験のおかげで、限られた時間でどう段取りするか? について成長したと思います。事前の時間を短縮するほど工事に携わる期間が増えますので、安全にもなるし品質も良くなると思います。
Y.T.
この仕事はすんなり行かないのが当たり前。困難を乗り越えることが醍醐味に変わってくるんですね。いかにうまく仕事を動かして、迅速に火消しするか(笑)。直接モノづくりをするわけではないですが、現場監督でしか味わえない歓びを実感します。自分自身も失敗すると思っていますし、周りがカバーしてくれるとも思ってます。なぜそうなったのかと責めるのではなく、どうみんなで良い方向に持っていくか。それがチームだと思いますし、特にこういう大きなプロジェクトではそこが大事だと考えています。
仕事のやりがい、そしてプロジェクトの達成感とは。
M.T.
私が就職活動をしていた頃は就職氷河期で、電気関係の会社を片っ端から受けました。当時はNESCOに対しても、自分で体を動かして黙々と作業するイメージを持っていたのですが、実際は現場監督。正直悩みましたが、今は出会えて良かったとしか思えません。例えば、小さい駅だったのが橋上化して大きくなると、風景も生活も変わります。今回のプロジェクトも複線化で便利になれば、人の流れも変わります。仕事のスケールが全く違いますし、そこにやりがいを感じますね。
N.T.
そうですね。自分の作った設備が後世にずっと残っていく。奈良線の複線化も、取り替え周期の30年は絶対に自分が作ったものが残り、人々の暮らしを支え続けるのが魅力です。私も通勤で奈良線を使っているのですが、今は単線ですごく待ち時間が長いんですよ。工事に携わりながら、お客様の不満が解消できればすごくいいことだなぁと思って仕事をしています。
Y.T.
この仕事って同じ現場は二度とないと思うんですよ。常に人も変わる、環境も変わる、設備も変わっていく。常に新しい挑戦が求められ、新たな発見がある。現場監督ってきついし夜間作業もあるけれど、苦労を超える達成感がある。しかも常に新鮮な達成感があるから続けてこれた気がします。そんな仕事の歓びが、お客様が快適に輸送されることにつながるなら、こんなに幸せなことはないなと思っています。